愛してるって気持ちだけじゃ届かない
冗談で言った私が、彼の否定の言葉に傷ついているなんて思いもしないのだろう。
こんなに好きなのに、届かない…
誰より側にいるのに、気がついてもくれない…
なんでこんな奴を8年近くも好きなんだろ。
「黙ってないで、教えろよ!」
傷心で聞き流していたら、慧は焦れていた。
「女が好きになるタイプ⁈だっけ?…私は…人当たりの良い顔をしてるくせに、クールで、実はは一癖も二癖もある人が好き」
好きになろうとする人は慧に似た人ばかり。けど、結局、本気で好きになれないから、振り向いてももらえない。
『君は、僕に恋なんてしていないよね』と、言った男は、一つ下の守ってあげたくなるタイプの後輩に恋をしだし、どうして私じゃないのかと、悔しくて、その子に嫌がらせなんかもしたら、結局、私が悪者になった。
だから、同じ失敗はしない。
次に狙う彼も、小さくて守ってあげたくなるタイプがお好みらしい。彼の仕事のライバルの男性と恋でもライバルになりそうでお互いに意識しているのを感じた。
一筋縄ではいかない男に恋すれば、慧を忘れるには丁度いい。
「…そんな面倒な男が好きなのか?」
自分がそんな男だと思っていないおめでたい頭をしてる。