愛してるって気持ちだけじゃ届かない
どこかしら慧に似ていて掴みどころのない彼は、私ではなく彼女に興味を持っていた。
社内いち、彼氏にしたい男に気にいられる彼女。
私が好きになろうとする人は、私を選んでくれない。
誰も、慧の代わりに私の心を埋めてくれない。
だから、好かれる彼女に嫉妬してバカな真似をした。
社会人になっても、高校生の時と変わらず成長していない私。
いや、昔よりたちが悪いだろう…
慧に告白もできない私が、慧に似たタイプに恋するフリをして、本気になれないくせに、羨ましさから影で色々と彼女に嫌がらせをした。
だけど、彼女は慧が思うあの女とは違った。一途に一人の男だけを思い続け、彼女に好意を抱く男がいても、ブレなかった。
本命が別にいるくせに、慧の心をいつまでも繋ぎとめているあざとい女と違った。
結局、私の悪さは露呈してしまい、彼女は社内いちの男と社内公認で両思いになり、会社に居づらくなった私は退職した。
愛する人は振り向いてもくれず、その寂しさから誰かに愛されたいと願ってとった行動で職を失って、初めて、自分の愚かさを認識し、後悔する。
もう2度と同じ過ちは繰り返さないと強く誓った私は、慧を無理して忘れることを諦めて、片思いを続けようと思っていた。