愛してるって気持ちだけじゃ届かない

「何がしたかったんだろうね」

過去を振り返っていた私を、慧は友人として心配してくれる。

「はあっ、バカ女。お前は昔から…そうだった。好きでもない男に告られて数日で別れたり、女にだらしない男とわかってて関係したり、バカばっかり。何がしたいんだか…」

「…しょうがないじゃない」

こんなに側にいるのに、あなたの心には、今も昔も彼女しかいないんだから…

「しょうがなくない。いい加減いい歳なんだから、まともな恋愛をしろ」

「そんなこと慧に言われたくない」

自分の恋愛を棚に上げて説教する慧に、ムカついて叫んでいた。

「はぁっ?」

「いつまで、あの人に振り回されてるのよ。慧こそ、まともな恋愛したら?」

目を見開き、驚きを隠せていない慧。

「…何を知ってるって言うんだよ」

「私が知らないと思ってるの?あの人に…彼氏、今は婚約者だったけ⁈そんな人がいるのに、慧を振り回して、都合よく使われてるのに、いつまで関係を続けるつもりなのよ」

慧は、拳を作った手でドンとテーブルを叩き、やり場のない怒りをぶつけていた。

「わかってるさ…それでも必要としてくれる間は、側にいると、そう望んだのは俺だ。最初から…彼女が幸せなら身を引くつもりでいるさ」
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