愛してるって気持ちだけじゃ届かない
高校生時代
入学式で一際目立つ存在だった男
有坂 慧
高身長で、モデルのように手足が長く、顔も小さくて、切れ長の一重の眼は色素の薄い茶色い目をしていて、髪の色も目の色と同じで、茶色。ハーフっぽいイケメンがいると、女子達は浮き足立っていた。
チャラチャラしたグループの中心にいながら、彼だけは、人を寄せつけない雰囲気をだし、クールという言葉がぴったりハマるように、にこりと笑いもしないし、話かけても、一言二言で会話は終わらされてしまうらしく、彼に近寄りたい女子は、手をこまねいていた。
私は、女子の中でもはみ出たグループにいて、同学年にキャーキャー騒ぐ女子達を冷ややかに見ていた。
学校帰りに、駅でバッチリと化粧をして年齢よりも上に見られるように服装も大人っぽくする。
数人で、夜の街をふらつき、大人の男に声をかけられ、歳をごまかして、お酒を飲み、男達を財布代わりにして遊んでいた。
高2の夏、そんな遊びが危険を招いた。
財布でしかなかった男が、いつまでも体を許さない私に腹を立て、待ち伏せていた。
私が高校生だとなぜか知っていた男は、それを脅しに使い、脅迫されて、逃げないように腕を掴まれて無理やりホテルに連れ込もうとしたのだ。