愛してるって気持ちだけじゃ届かない

その日から、勘違いしそうになるほど、ベッドの中でも外でも私を甘やかす慧。

そして、同窓会当日。

なぜか一緒の会場入りに困惑する私を他所に、慧は、当たり前のように私と手を繋ぎ、ひやかす同級生に意味深に笑い誤魔化しているので、否定しよう口を開きかける度に、慧の邪魔が入る。

私の知らない男同士の会話に口が挟めなくなり、モヤモヤした気持ちが行き場を失っていた時、懐かしい顔ぶれを見つけ、歓喜の声をあげる私。

繋いでいた手からやっと解放され、すぐ側で女同士で
昔を懐かしがって盛り上がったのは最初だけだった。

この歳になれば、半分以上は結婚しているからか、次第に家族の愚痴という名の惚気話になり、会話に入れず、理由を作ってその場から離れた私は会場の隅に移動した。

そんな私の後を追ってきたのか、隣に慧がつまらなさそうに立った。

「どいつもこいつも嫁の愚痴と独身を羨ましがるくせに、家庭を持つ幸せを語りやがる。俺たちの結婚の心配までしやがって、大きなお世話だ。来なきゃよかった」

「俺たち?」

「あぁ、俺とおまえ。いい歳なんだから早く結婚して子供作れって説教された」

ドキドキしながら慧の表情を伺う。

私達ってセフレだよね⁈
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