愛してるって気持ちだけじゃ届かない
苛立った男は、慧に向かって罵声を浴びせたが、びびるどころか不適に笑ったのだ。
『見苦しいぜ…おっさんだっていい思いしたんだろ。使った金は投資だって思ってここで引きな…見逃してやるって言ってるんだよ。通報してもいいんだぜ」
スマホを見せて、今にもSOSにタッチしようする。
慌てふためく男は、私を慧に向かって突き飛ばし逃げだしたが、ニヤッと悪い笑みを浮かべる慧と同じ学生服を着た男子に、行手を阻止されて腕を捻りあげられていた。
『撮れたか?』
『あぁ…ちゃんと撮れてるぜ』
男に見えるようにスマホの画面を見せる男子に、男の顔は強張っていく。
そして、慧は男の服から財布と携帯を見つけると、免許証をだして写メり、携帯の画面を開いて色々と見ていた。
『へー、おっさん、妻帯者なんだ』
『おい、やめろ、見るな』
『奥さんにその画像送ったら、どうなるのかな?』
『やめろ、お前達そんなことしたら、ただで済むと思うなよ』
怒鳴りちらす男に、慧は男の頬を携帯で叩く。
『おっさん、わかってないようだな。今すぐに警察を呼んでもいいんだぜ。そうなったら、おっさんは社会的にも終わりだ…』
そう言われて、男は青ざめて震えだした。