愛してるって気持ちだけじゃ届かない
助けてもらいながら、偉そうに説教する慧にムカついたが、何も言い返せなかった。
『慧、怒るなって…怖がらせてどうするんだよ』
ごめんねと慧の代わりに謝り、手を差し伸べてくれた爽やかなイケメン男子は、同じ学校なのに見たことがない顔だった。
『無事でよかったね…慧が突然、慌てて呼び出すからさ、何事かと思って急いで駆けつけてよかったよ』
『おい…その…悪かった』
気まずそうに目を逸らしながら、彼なりに怒鳴ったことを謝ってくれたので、こちらも素直にお礼が言えた。
『…ううん、私の方こそ助けてくれてありがとう』
すると、なぜだが、視線を彷徨わせながら慧のお説教がまた始まった。
『俺達が近くにいたからよかったが、こんな偶然2度とないからな。だいたい、ちょっと綺麗だからって男を操れると思うな。焦らせやがって……もうバカな真似するなよ……聞こえてるのか?小野寺 詩織』
聞き捨てならない言葉が聞こえ、彼を凝視していたら、フルネームで呼ばれた。
慧に恋した瞬間だった…
『…私の名前知っていたんだ』
チッと舌打ち、背を向けた慧を見て笑う爽やかなイケメンは、聞きもしないのに自己紹介をはじめた。
『ちなみに、俺は神崎 透。なんだか面白くなりそうだね…学校行こうかな』
その日を境に、慧達と連むようになった。