愛してるって気持ちだけじゃ届かない

約4年前


通い慣れたカフェ&ダイニングバー[コンフォルト]のカウンターに座る、見知った後ろ姿の男を見つけた。

いた…

ガラス窓に写る自分を探し、髪の乱れを直して、服装も最終チェックをしてから、男の座るカウンターの横に座った。

「マスター、ビールお願い」

カウンター内にいるダンディなおじさまが微笑んで、すぐにサーバーから注いだビールを出してくれた。

「マスターありがとう」

「お前、隣に座るなよ」

「えー、いいじゃん。私の為に空けておいてくれたんでしょ⁈」

「はっ、違うわ」

そういいながらも、グラス同士をカチンと鳴らし、お互いにビールを喉に流していく。

「うーん、美味しい。仕事上がりにはこれよね」

しばらくの沈黙の後

「今日は、合コンじゃないのか?」

「あのね、いつも私が合コンしてるイメージやめてくれる。まるで男漁りしてるみたいじゃない」

「この間、結構なイケメン揃いと奥で合コンしてただろう⁈あの中の誰かが目当てじゃなかったっけ?」

「そうだけど…」

「なんだ?その歯切れの悪い言い方だと、見込みなしか?」

「そうよ。どうして男って、小さくて、守ってあげたくなるような女がいいのかしら?」

あなたもそうだけどさ…
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