愛してるって気持ちだけじゃ届かない

こいつも小柄で守ってあげたくなるような可愛らしい女がタイプだ。１６５センチの身長、可愛らしさとは程遠い、どちらかと言えばキツイ感じの顔の私と正反対。

だから、告白もできないまま高２の夏に恋した瞬間から、ずっと友達関係を続けている。

高三の時、教育実習生としてやってきた女性がいた。童顔で背が小さくて、どこか抜けていて、守ってあげたくなるようなタイプに、男達は彼女をペット扱いして可愛いがっていたっけ！

反面、彼女のあざとらしい行動が女子から反感を買い嫌われていた。

慧以外の男子が彼女の周りをうろついてもなんとも思わないのに、慧が彼女を気にしてチラチラと見ているだけで、胸の中がモヤモヤして敵意を向けるには充分で、私も彼女が嫌いだった。

好きなタイプというだけで、その場限りで遊んできた女達と変わらないのに、慧は、彼女の何に惹かれたのだろうか？

彼女の前では、今まで見たこともない優しい顔をして愛しそうに見つめる姿に、彼女は慧の特別なのだとショックを受けた。

慧の一方的な恋ならよかったのに、２人の距離は縮まっていく。

玉砕するとわかっていて告白する勇気もない私は、それでも慧が誰かに本気になる姿なんて見たくなかった。