愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
明日はお互い仕事なので、目覚まし時計をセットしてベッドに隣り合い、布団に入った。

月島くんは、私が河本さんを早く忘れられるように、気遣ってくれている。
そんな月島くんに、私は心から感謝している。

それだけではない。
ドキドキしたり、安心したり、月島くんに対していろんな感情が湧き始めている。

それを、どう伝えればいいのだろう。
この感情は、優しさに対しての感謝なのか、それとも恋なのか……。
恋愛初心者の私には難易度が高い。もどかしくてたまらない。


「月島くん。私、寝相悪いかも」


ぽつりとつぶやくと、体勢を変えてこちらを見た月島くんがクシャッと鼻に皺を作って笑った。


「いいよ、そんなの気にしなくて」


寝相より、ドキドキして眠れないかも、って心配した方がいいかも……。


「あのさ、毛利さん」
「ん、ん?」


ドギマギして、声が裏返った。
私は布団を顎まで引いて、気を紛らわせるために天井を見た。


「名前で呼んでもいい?」
「名前? もちろん、どうぞ」
「俺のことも、名前で呼んでほしい」
「え……」


小学生の頃からずっと〝月島くん〟だったから、今更名前で呼ぶのはなんだかこそばゆい。
けど夫婦になるんだし、お互い苗字だとよそよそしいか。
同級生だからといって、いきなり呼び捨てにするのは憚られるし……。


「じゃあ……涼介さん?」


グルグルと考えをめぐらせて声に出した途端、涼介さんは布団を自分の方に引っ張るとバサッと頭からかぶった。
< 43 / 119 >

この作品をシェア

pagetop