愛執身ごもり婚～独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました～

「俺ずっと我慢してきたから、見境いつかなくなるかもな」


はあ、とため息交じりに耳元でつぶやかれ、私は顔に焦りを滲ませた。


「ベッド行こう？　菜緒」


私の体を軽々と抱き上げ、立ち上がった涼介さんに対し、私は逡巡する。


「え、っと」


ベッドってことは、そういう行為をするんだよね。
大人同士で気持ちを確かめて愛し合いうのは当然かもしれないけれど、私初めてだし……。


「大丈夫」


往生してうつむく私の額に、涼介さんが不意打ちでキスを落とす。


「俺しか知らない菜緒を見たい」


吐息を宿らせた色気のある声に、背中がゾクッとした。

上目遣いで見上げた涼介さんの顔つきが、比類のない妖艶さで美しく、私は小刻みに小さく頷くしかできなかった。


「今夜は寝かせらんないな」


寝室に移動し、私をベッドの上に組み敷くと、着ていたTシャツを脱いだ涼介さんが興奮を抑える声で言った。

ルームウェアにしている薄手のカットソーの裾から手を入れ、柔らかいところを探りながらなでられる。
その間キスは止めずに唇をしっとりとほぐされて、羞恥はあるはずなのにあまりにも心地よくて気が遠くなった。

初めて触れられる部分に涼介さんの手や唇によって熱が灯されるたびに、体の奥が疼くような感覚が芽生える。
体を仰け反らせて身をよじると、所在なくシーツの上をさまよわせる手を涼介さんがしっかりと掴んでくれた。


「好きだよ、菜緒」


優しい声で鼻面でささやく。
大丈夫だよ、と言い聞かせるみたいに。