愛執身ごもり婚~独占欲強めな御曹司にお見合い婚で奪われました~
オープン記念パーティーでは最初に屋上に案内され、夕日とイルミネーションが融合した素晴らしい景観を堪能した。
「綺麗……」
最初はその高さに足がすくんだけれど、私は景色の美しさにうっとりとため息を漏らした。
「菜緒、寒くない?」
屋上は風が強いけれど、気分が高揚しているからか不思議と寒く感じない。
「大丈夫だよ」
風に靡くスカートを押さえ、私は日が沈むまで涼介さんと景色を眺めた。
その後、二十階のパーティー会場に移動した。
商業施設層とオフィス層のちょうど中間にあるパーティー会場は、約三百人収容できるため、宴会や研修など多目的に利用できる部屋になっているらしい。
会場内はすでにたくさんの招待客でいっぱいで、会場に入った途端、涼介さんに多くの注目が集まった。
「月島専務、お久しぶりです」
そばにいた年輩の男性が、こちらに歩み寄って来た。
「今回共同のデベロッパーだった鉄道会社の重役さんだよ」
会釈をしながら涼介さんが私に耳打ちをする。
「お久しぶりです」
「おや、こちらは……?」
相手は涼介さんの隣に立つ私を、誰何するような目で見た。
「今度結婚することになりまして。婚約者の菜緒です」
「はじめまして、菜緒です」
涼介さんに紹介され、私はぎこちない動きでお辞儀をする。
すると、相手は大きく両目を見開いた。