孤独なお姫様
ー屋上ー

ーﾊﾞﾀﾝｯ

奏「美咲ちゃん…だよね？」
美「うん。…そうだけど」
心底嫌そうに言うこの女。

奏「勝手なことしてごめん。俺たちはずっと君を探してたんだ。
元々はあの噂は信じてなくて。1回会ってみたかったんだ。君に」

奏多がそう言うと女は痺れを切らしたように言葉を発した。

美「…みんなは信じてくれなかった。ほんとはね、ずっと苦しかったの。彼等に裏切られたことが。けど、ちょっとぐらいまだ信じてくれるかな、とかって思ったりもしてた。ﾌｯ馬鹿だよね、そんなことしても意味ないのに…」

泣きながら語る。
俺はそれを涙を見た途端、抱きしめていた。

『…泣くな。あいつらのことで泣くな』
目から溢れる雫を手ですくう。

美「ｯごめんなさい。初めてて会ったのに…」
『泣いてるやつほっとく訳ないだろ』
美「…ありがとう、蓮さん？」
『蓮でいい』
美「蓮…」

初めてこんなにも守りたい女ができた。
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