時戻り
「時戻りをご存知ですか?」
「時戻り?知らないけど。」
「過去であり過去ではない。過去とは交わることない平行世界。それが時戻りです。」
「どういうことだよ。過去?平行世界?」
俺の頭の中には無数のハテナが浮かんだ。
「例えるなら白の紙と透明のフィルムです。
それがぴったりと重なっているのを想像してみて下さい。
透明のフィルムは白の紙と重なると透明だから当然透けて白が見えるでしょう?
白の紙は私たちが暮らす世界。
透明のフィルムは時戻りの世界というわけです。」
それでも俺の頭の上にはハテナが浮かんでいた。