2人で誓いの言葉を
「話を聞いてほしい」



切なそうな顔をして彼は言った



「はあ⁇今更なんの話があるっていうの⁇
なんで君に逢いたかったなんて言うの!
あの時…私がどんな気持ちでいたか
貴方にはわからないでしょうね!
貴方には時間が進んでいるから
だけど私は…あの時から時間が止まってるの
貴方が私に"ごめん"と言ったあの時から!」



私はすぐに部屋を飛び出した



そしてポーチを持って屋上に行った
震える手でポーチからタバコを出そうとしたけど手が震えてなかなか出せない
ライターが下に落ちた



どうしてよ!どうして今更現れたのよ



ライターを誰かが拾って私に手渡そうとしていた



横を見ると彼だった



ライターを受け取らず
そのまま屋上を出ようとしたけど
すぐに腕を掴まれた



そして引き寄せられ唇を塞がれた
あの時の幸せだった頃にタイムスリップする



私はこのキスを忘れてはいなかった
この7年の間求めてきたもの
川島では埋めれなかったもの



ハッと気づいて身体を離そうとしたけど
角度を変えて何度も何度も求めてくる
頭が真っ白になる
崩れそう…でもしっかり私を支えて
求めてくる



やっと離され今この人の胸に顔をうずめてる



「静流…」



優しく私の名前を呼ぶ



名前を呼ばないで
貴方の隣にはあの人がいるんでしょ
なぜキスなんてするの⁇



身体を離し



頭を下げて



「申し訳ありませんでした
秘書の件はお断りいたします
明日辞表を持って来ます」



「静流⁇」



そんな優しい声で呼ばないで



突然肩を掴まれ



「辞めさせない!
ずっと側にいてもらう
どんな卑怯な手を使ってもな」



なぜ⁇そこまでこだわるの⁇
貴方が捨てたんじゃない!



私を捨てた罪悪感⁇
罪滅ぼし⁇



私は肩に置かれた彼の手をそっとよけて



「では…仕事だけ関わります
それだけです!
それ以上もそれ以下もありません
申し訳ございませんが
今日は早退させて下さい
明日からは秘書としてやらせて頂きます」



今日この人と一緒に仕事をする気がしなかった
だから屋上を後にした



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