熄えないで




成川くんの顔を見るのはひさしぶりだ。

近くにある椅子に座り、そっと彼のおでこに手を伸ばす。

熱はないみたいだった。見た感じ顔色も悪くはなさそうなので、寝不足かな…とそんなことを思う。



生徒会の仕事が忙しくて眠れていなかったのだろうか。

最近まではテスト期間だったし、成川くんのことだから、勉学の方もきっちりやっていたんだろうな。


それと、もうひとつ……多分、私のことでも悩んでいたのかもしれない。



自惚れていると言われてもいい。それでも、彼のこの体調不良はいろいろなストレスと疲労から来たものだと思うのだ。

私が関係していないとは、到底思えなかった。


具合が悪い時、メンタルが弱くなる気持ちも、無性に泣きたくなってしまう気持ちもわかる。


…好きな人に会いたくなる気持ちだけは、悲しいことに今の私にはわからないけれど。


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