熄えないで
私は全然ダメダメで、成川くんの好意を半分も受け取れない。曖昧なまま、彼のせいにして何度も言葉を呑み込んだ。
それに加えて吉乃くんとの関係をあんな形で伝えた。
嘘ばかりついてたくさん傷つけてしまった。
私がこれから彼にいう言葉は、きっと今までで一番、彼の心をえぐってしまう。
傷を最小限で、なるべく柔らかい言葉を───
「二千花」
成川くんが口を開く。
名前を呼ばれただけなのに、その優しい声色が苦して耳を塞ぎたくなった。
「気づいてないと思うけど、二千花は最初から嘘つくの下手だよ」
「…え、?」
「好きだから、わかる。自分の気持ちなんて関係なしに、嬉しいこともキツいことも、好きな人の考えてることって結構わかるものだから」
「……っ」
「だからもう、嘘つかなくていいよ」