熄えないで
「二千花の気持ちが向いてないことはずっと分かってた。始まりも、多分周りの声に流されて付き合ってくれたんだろうなって思ってたし。けど付き合ってれば、一緒に過ごす時間があれば、いつか二千花のこと振り向かせられるかもって思ってたんだ」
「……、」
「図書室で、二千花が後輩の男子と居たとき確信した。俺じゃだめなんだって。今はなんとか形だけでもつなぎとめてても、二千花からの“好き”が俺に向けられることはないんだって、…あの時思ったんだ」
初めて聞く成川くんの気持ち。
私が泣くのは違うって分かっているのに、涙は止まることを知らない。
勢いでここに来たから、服装は警察官のコスプレのまま。ハンカチもティッシュも持っていなくて、あふれる涙をどうすることもできない。
「っ、う」
「ごめんね」
小さな謝罪とともに、グイッと、成川くんの指が涙を掬った。