熄えないで
「…これで最後。もう、二千花には理由もなく触れない関係だから」
「っ、成川くん」
「そこら辺にティッシュなかった?多分、勝手に使って良いと思うから使いな」
教員用の机に置いてあったティッシュを何枚かとり、可愛げもなく鼻をすすると「俺の前でそんなのやったことなかったのに」と笑われた。
きっと無意識ではあったけれど、成川くんの前では“会長の彼女”として悪い噂が立たないようにと必死だったのかもしれない。
彼と一緒に居た自分がどの程度本物だったのか、今なら冷静に分析できる気がした。
「二千花。ひとつだけ質問していい?」
「、うん」
「あの後輩とキスしたって言うの、本当だった?」
その言葉にぴくり、肩を揺らす。
成川くんは、それを答えだと読み取ったようで、「そっか」と、眉を下げて笑った。