熄えないで
「そんな怖らがらないで。怒ってないし、二千花を責める権利も俺にはないから」
「…ごめん、なさい」
今は友達。けれど、吉乃くんとキスした時、私はまだ成川くんと付き合っていたのだ。
怒って当然なのに。
「…ただ、二千花がもしあの男に振り回されて泣いたりとかしてるのは見たくないから。山木だっけ?…あいつがどこまで本気なのかわからないし」
「…ん?」
「ん?」
「私は別に吉乃くんのこと好きなわけでは、」
「え、そうなの?」
成川くんは目を丸くして私を見ている。
たしかに、普通に考えたら、キスをした関係の後輩がいて、それでいて成川くんと別れたのだから、つなぎ合わせたらそこに恋愛感情があったのだと思われるのも無理はないかもしれない。