熄えないで
「名前で呼んでるみたいだから、結構深い関係なのかと思ってた」
「え、」
「まあ、でも何であれ応援するよ。俺は、二千花が笑ってくれてればそれでいいから」
吉乃くんのことを名前で呼んでいるのはちゃんと経緯があった。先輩さえよければ名前で呼んでって、そう言われたから呼んでいるだけ。
吉乃くんとはキスをした。
けれどそれは、成川くんと別れるための口実で会って、その他の感情は何もなかった。
それで成り立っているし、ちゃんと理解し合っている。
吉乃くんを好きとか、吉乃くんが私を好きとか、今の私には まだ分からない。
ただ、強いて言うとするならば。
「……興味は、ある、」
「うん。そっか」
吉乃くんに興味がある。
それだけは、自分でもわかっていることだった。
…成川くんに言うことでは無いかもしれないけれど。