熄えないで





本は好き。図書室も好き。


バイトも部活もしていないから、用事が無い放課後は大体いつも図書室で1時間ほど本を読んで帰る。



決して友達がいないとかそういう訳では無い。多くないけれど、親友と呼べる人が2人と、幼なじみと呼ばれる人が2人いる。


親友のメイとレナはクラスも同じだ。

2人はバレー部に所属しているので放課後は一緒に過ごすことは殆どないけれど、2人の部活が休みの日は時々遊んだりもする。



幼なじみの瑛斗(えいと)と咲斗(さきと)は双子。

2人とも学校は違うけれど、家が近いので頻繁に会っている。顔は良いけど心はまるで小学生。
会う度アイスの取り合いをしてるから放置している。




「そういえば吉乃くん、あの本何で知ったの?」

「え?」

「有名じゃないでしょ、あんまり。私は元々違う作品読んでて、その繋がりで見つけたんだけど」



先程読み終えた『消える、』の存在を思い出しその話を持ちかけると、吉乃くんは「あー…、」と言って言葉を続けた。




「…オススメされました。…、彼女に」

「あ。そうなんだ」




ナチュラルに出たそのワードに特別驚くことは無かった。
綺麗な顔立ちをしているし、むしろ居て当然くらいの気持ちだ。


彼女さんは本が好きなのだろうか。

おすすめしたい本が同じという情報だけで、吉乃くんの彼女さんとは何だか気が合いそうだなと、頭の片隅でそんなことを思った。



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