熄えないで
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16時40分。
彼は、まだ来ない。
教室には、私以外もう誰も残っていなかった。みんな後夜祭に行ってるので当然だ。
むしろ、まだのこっている私が特例なのだ。
少し前に、グラウンドから軽音楽部の演奏が聞こえてきた。毎年恒例の、後夜祭の始まりを告げるパフォーマンスだ。
ふと、窓からグラウンドを覗き込むと、後夜祭のために作られたステージに立つ軽音楽部と、それを織り上げる生徒たちの姿がうかがえた。
この時間の、秋の夕暮れが良く似合っている。
表現するとするならば、“エモい”だろうか。