熄えないで
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「私、次降りる」

「そうですか。俺はあと2駅です」

「家、意外と近いかもね」

「ですね。ホント偶然」



私の家の最寄り駅まで7分。

電車に乗ってからはあっという間だった。駅名を告げるアナウンスが流れる。


吉乃くんとは、学校からの帰り道も含めてたくさんの話をした。


おすすめの本の話。最近感動した映画の話。

彼はどうやら映画鑑賞も趣味らしい。それも洋画。私は英語があんまり得意じゃないから、その話を聞いてシンプルにすごいと思った。


吉乃くんは頭が良いのだと思う。雰囲気も落ち着いているし、言われなければ年下だなんて思わない。


美少年、秀才、読書好き、――あと、彼女持ち。


全部ピンとくる。

私が知り合った山木 吉乃という男の子は、そんな人だ。



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