熄えないで
11.最後の追風
「はぁ…」
「うっ…ごめんね…」
数週間後の放課後、生徒会室の隣にある空き教室にて。
彼女――蛍原さんは、私を見つめてため息をついた。
「あたし普通に仕事あるんですけど」
「ご、ごめんね、どうしても聞きたいことがあったの」
蛍原あやかちゃん。
私のことが嫌いな、でも実は優しくて、すごく強くてかっこいい後輩の女の子。
放課後、生徒会の仕事がある彼女を呼び出してまで聞きたいこと…というか確認したいことがあったのだ。
冷めたような、呆れたような目を向けられる。ごめんなさい…と心の中で思いながらも、私は小さく口を開いた。
――どうしてもわからなくなったら連絡してきてもいいです
後夜祭の時、彼女は私にそう言った。
「れ、連絡先は蒼志くんにきいたの」
「はあ……で、用件はなんですか」
「、…うん、あのね」
もともとライバル視されていたわけで、そんな私から“友達”だなんて贅沢な言葉で表すことはしないけれど。
───それでも私は、彼女の声が聴きたかったのだ。