熄えないで
心臓は今にも爆発しそうなくらいうるさい。
握りしめたてのひらは、汗がにじんでいる。
恥ずかしい。
愛を形にするのって、すごく勇気がいる。
「さっき一緒にいた女の子はだれなのかな、…彼女だったらすごく嫌だ」
「…、え」
「吉乃くん、は、」
「、」
「…、まだ私のこと───っ」
目の前がくらくなり、同時に大好きな彼の柔軟剤の香りが鼻を掠めた。
言葉を遮るようにして重なった、私だけが知っている温度。
吉乃くんのキスはいつも突然で、甘くて、それでいてすごく優しい。
このタイミングでされたキスの意味。
これは───…一番わかりやすい、吉乃くんの答えだ。
「…好きですよ。当たり前じゃないですか」