熄えないで
「言い忘れてました。蒼志の彼女はリカちゃんです」
「リカちゃん……って、え!」
「はい。人生、まじで何がどうなるかわかんないですよ」
ーーヒロインには彼氏が居るのに、めげないで告白して振られちゃう。でも、ヒーローの言葉でヒロインのこころがどんどんすくわれて、好きになるハッピーエンド。
――『ヒロインだって、ずっと振り続けてきた男のことを好きになるなんて想像もしてなかった』
『クレセントに愛の色』は、蒼志くんの鏡だった。
当たって砕けまくっていたヒーローは蒼志くんで、訳ありなヒロインはリカちゃん。
そうか、なるほど。
蒼志くんにとってあの本が大切な理由も、その本を私に教えてくれた吉乃くんの気持ちもなんとなく、わかる。
吉乃くんは私のとってずっとヒーローだ。
吉乃くんの言葉で、私はたくさん自分と向き合えた。
紡ぐ言葉を選ばない、まっすぐな吉乃くんに、私はたくさんすくわれたのだ。