熄えないで
人生、どうなるかわからない。
本当にその通りだ。
『消える、』を読んでいなかったら、あの日図書室に行かなければ、吉乃くんたちに声をかけなければ。
───私と吉乃くんは、こうやって恋に落ちることはなかった。
私はずっと成川くんを傷つけていたかもしれないし、たくさん嘘をついて、ずるいことばかりをかさねていたかもしれない。
「…本当は、きっともっと前から好きだったと思う」
私の言葉に、吉乃くんはピクリと肩を揺らした。
夢中になるのが怖かった。
私ばっかり好きでいるのが怖かった。
このままどんどん吉乃くんに溺れて、いつかきみと“好き”がすれ違ってしまうことを想像して怖くなってしまった。
けれど、あやかちゃんと蒼志くんおおかげで考え直すことができたのだ。
その時考えればいい。
伝えないと愛は形にならない。
思っているだけで伝わらないなんて、そんな悲しい贅沢はないって、私の周りのたいせつな人たちが教えてくれた。