熄えないで
「あ、ごめん、歩くの遅かったね」
「ううん。それより俺、ちょっと本屋寄りたいんですけど、先輩も一緒に行ってくれませんか」
「うん、いいよ」
吉乃くんとの関係も至って良好。
こんなふうなやり取りをすると、双子は大体「ラブラブだ!」「俺も彼女欲しい!」とかなんとか野次が飛んでくるけれど、どう考えても2人に彼女ができないのは人見知りと、成長しない子供心のせいだとおもう。
「瑛斗さんと咲斗さん、ほんと黙ってればマシなのに…」
「マシって酷い吉乃」
「聞こえてんぞぜんぶ」
「褒めてるんですよ。もっと大人になればモテます」
「なっ!」
「ぬっ!」
「…ああ、そういうとこから治した方いいですね。ほんと残念」
吉乃くんは相変わらずまっすぐで、言葉を選ばない。
嘘をついていないのに人を傷つけないから吉乃くんはすごいと思う。