熄えないで
03.不確かな温度
◇
「起きろ ニチ」
「にっちゃーん、朝だぞー」
───日曜日。
私は、聞きなれたそんな声で目を覚ました。
「…ん、」
「あ。起きた」
「目覚めだけは良いよな」
ぐーっと伸びをして体を起こし、目をこする。
重い瞼を持ち上げてすぐ視界に映った2人の人物に「おはよー…」と挨拶をすると、「おはよ」と、2つ分の声が重なった。
「朝っつーか、もう昼になるけどな」
「ほんと、ニチは寝すぎ」
「かき氷食いに行こうよ にっちゃん」
「ふわふわのやつな!」
「早く起きて」
「準備して」
「にっちゃん」
「にーちー」
日曜日の日課。
このうるさい双子が朝――いや、昼前くらいに私の睡眠時間を妨害しにやってくる。