熄えないで
「にっちゃん」
今度は瑛斗が口を開く。心配性な彼は、その瞳に少しだけ不安の色を灯していた。
「…俺も、よくわかんない男よりは、ヨシノってやつのほうがいいと思う」
「…心配しなくても、まだ友達とも言い難いひとだよ」
「でも、なんかよさげな感じがする。俺の勘が働いてる」
勘って。
咲斗も「俺も!勘!」と食い気味に同意している。
まだまだ知り合ったばかりで、これからも関わることになるかすら危ういというのに。
それでも、長年幼馴染をやっている2人の勘が吉乃くんを受け入れているのであれば、もう少し、自分から関わって見てもいいかなぁと思ったりもするわけで。
「…でもとりあえず、成川くんのことはそろそろ終わりにしないといけないなっては思う」
「おう。なんかあったらすぐ言えよー」
「なんなら別れるとき付き添ってやってもいいよ」
「それは遠慮する」
「つれねーなぁニチは」
そんな会話をしながら、溶け始めたかき氷を食べるのは、とある日曜日の出来事だった。