熄えないで




「二千花先輩」

「ん?」

「今出ると、会長と帰る時間被ると思いますよ。あんまり会いたくないんじゃないんですか」



唐突に言われたそれに、「え」と思わず声を洩らした。

図書室に私たち以外の利用者がいないことを知ってか知らずか、吉乃くんは声のトーンを落とすこともなく言うものだから、“聞き間違い”という概念が通用しない。



図書室に来るには、生徒会室の前を通ることになっている。

成川くんの方が先に校舎を出るのであれば問題はないけれど、私が先に出て 偶然彼に遭遇したら、一緒に帰るコースは目に見えている。



そうなったら、本屋に寄りたいと言えば、きっと彼は「一緒に行くよ」と言うだろう。

うーん…それは、なんとなく嫌かもしれない。




「あと、蛍原と一緒でした」



吉乃くんは、何を考えているんだろう。

どうしてそんな情報を私に与えてくるのだろう。




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