熄えないで
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「じゃあ、気を付けて帰ってください。また学校で」
吉乃くんと肩を並べて駅まで歩き、電車に7分揺られて私は最寄り駅に着いた。
プシー…と音を立てて開いたドア。
降りる直前にそう言った吉乃くんに「…うん」と短く返事をし、吉乃くんとはそこでわかれた。
――俺と悪いことしますか
成川くんと今までしてきたキスとは違う。
決して深くないそれだったのに、今までで一番熱を帯びたキスだった。
吉乃くんの彼女はこれを知ってどう思うんだろう。
これは、多分一般的に“浮気”と呼ばれてしまうのだろうか。
吉乃くんとした悪いこと。
吉乃くんと共有した不確かな温度。
吉乃くんとつくった既成事実。
――早く別れてほしいです
図書室で吉乃くんが私に言ったそれが頭から離れない。
その夜 私は、成川くんからのメッセージにも電話にも応えることができなかった。