熄えないで





「つーかニチ、寝不足?」

「それ俺も思ってた。にっちゃん、今日いつもに増して顔に覇気がない」

「覇気…」

「にっちゃん、なんかあっただろ」




ぎくり、思わず肩を揺らす。

なんかあったかと言われれば答えは全力でイエス。しかしながら、その内容を2人に伝えるのはちょっと…いや、かなり勇気がいる。



咲斗と瑛斗の“勘”は、吉乃くんをおすすめしていると言っていた。


とは言え、彼女持ちの後輩とキスをしたなんて言ったら、「浮気だ」「やめとけ」「ろくなやつじゃない」などと騒ぎ立てられるに違いない。


吉乃くんがろくな奴じゃないかどうかは、私が決めたいのだ。




「…成川くんと別れる方法を、…考えてて」



嘘じゃない。最低だけど、実際吉乃くんとキスをすることになった経緯はそこにある。


私の言葉に、咲斗は「あんま深く考えすぎんなよ」と言って頭を撫でてくれた。

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