熄えないで



.
.


学校に着いたのは1時間目の授業が始まる10分前だった。

もう少し急げばホームルームの終わりには間に合ったかもしれないけれど、担任の八木(やぎ)ちゃんが連絡事項を伝えているときに堂々とドアを開ける勇気は無かった。



時間を計算し、ホームルームが終わって八木ちゃんが前方のドアから出てきたタイミングで入れ違うように教室に入る。




「二千花、遅刻とかめずらしーじゃん」



窓際の後ろの席に座っているメイとレナが私に気づいて言った。


バレー部の2人は、黒髪のショートカットが今日も良く似合っている。

友達作りがあまり得意ではない私にとっては、1年生の時に知り合ってずっと仲良くしてくれている2人には感謝しかなかった。


< 52 / 205 >

この作品をシェア

pagetop