熄えないで





「寝過ごしちゃった。お母さんも仕事に出てたから一人で」

「災難じゃん」

「あと、朝から双子に捕まったのもある」

「ああ!あのイケメンか。あの2人、いつになったらあたしたちとまともに会話してくれるんだろー」

「ホントそれー」




あの双子は慣れた人以外と話すのが苦手なだけで、中身はただのバカだけどね。

と、それは何度言っても2人は信じてくれないので、「高嶺の花」というワードが出るたびにしぶしぶ頷いている。




「てか、今朝テスト範囲発表されたよ」

「え、今日だったんだ。いつもより早いね」

「二千花にとってはありがたいことでしょ?あんた、英語と数学ボロボロなんだから早めに対策できていいじゃん」

「うっ…」



文化祭前に中間テストがある。

読書が趣味なせいか、平凡な見た目のせいか、「頭良さそう」と言われることはよくあるけれど、実際にはむしろ“バカ”に分類されるほど、私は勉強が苦手だ。


現代文だけはできるけれど、古典はダメ。


英語も全然できないし、数学に至っては いつも必死に頑張ってようやく赤点を免れる程度。

その他の教科も、英語や数学に比べたらマシなだけで、得意と言える科目は一つもなかった。


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