熄えないで





「こんにちは」

「…、うん。蒼志くんもこんにちは」

「今俺らテスト勉強してて!吉乃めっちゃ頭いいから教えてもらってたんすよー」



「な!」と吉乃くんに同意を求めた蒼志くん。

彼とはまだ数える程度しか話したことがないけれど、いつ見ても一定のテンションで尊敬する。




「…はあ。いいから、蒼志は早く続きやんなよ」

「うっ」



呆れたようにため息をついた吉乃くんが、蒼志くんの前に教科書をズイっと移動させる。“これがおまえのノルマ”とでも言っているかのような行動。


吉乃くんって優しそうに見えるけど、意外とスパルタなんだなぁ…。



「先輩。今日も読書ですか?隣座りますか」

「え、…あ、うん」




吉乃くんは今日も普通だ。

本当はきみと話すのは気まずいんだ、なんて言う暇はなかった。促されるまま、蒼志くんと反対側の吉乃くんの隣に座る。



机一面に広がる教科書やワークは、去年私が使っていたものと全く同じだった。

見た感じ、蒼志くんは現代文、吉乃くんは数学をやっているみたいだ。


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