熄えないで





「また頼むよ吉乃」

「うん、まあ…おまえが赤点になって俺のせいにされるのやだし頑張るけど」

「しないってば!吉乃のなかで俺ってそんなヤなやつになってんの?」

「早く帰れよ」

「わあん!」



などという通常運転の会話をしたあと、大きく手を振ってファミレスを出て行く蒼志くんの背中を見送る。


相変わらず騒がしいけれど、私は嫌いじゃなかった。


吉乃くんも、一見仲良くしていそうなタイプではないのに一緒に居るということは、それほどの魅力が蒼志くんにはあるのだろう。




「先輩、どうします?」



2人きりになったところで吉乃くんが話を切り出した。このまま続けるか、帰るか…というのを聞いているのだろう。



「吉乃くんさえ良ければ…もう少しだけやってきたいかな」

「わかりました」

「ごめんね、ありがとう」



吉乃くんは嫌な顔せず最後まで丁寧に勉強を教えてくれた。

時々吉乃くんから香る匂いが、私は嫌いではない。



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