熄えないで
突然のそれに、「え…」と間抜けな声を零す。
吉乃くんに視線を向けると、彼は私のことをすでに見ていたようで、バチ、と視線が交わってしまった。
どくん、どくん、心臓が音を立てる。
聞きたいような、聞きたくないような、もどかしい気持ち。
吉乃くんが私についた嘘はなんだろう。
「……俺、」
「───あ、浮気現場ハッケーン」
吉乃くんの声を遮るように聴こえたそれに、私と吉乃くんはそろって後ろを振り返る。
同じ学校の制服。
私間違いなく私たちに向けられたスマホのカメラ。
「ホント、吉野先輩って期待以上のクズ。そこだけは好感持てちゃうかもー」
───そこには、蛍原さんの姿があった。