熄えないで
06.物語の終熄
───文化祭当日。
「二千花、あたしらリハあるからもう行くね」
「うん。2人とも頑張って。見に行くからね」
「録画必須ね」
「まかせて」
バレー部のダンスパフォーマンスのリハーサルに向かうレナとメイの背中を見送り、ふう…と息を吐く。
現在の時刻は12時。
2人の出番は確か13時の予定ではあるけれど、リハーサルや衣装に着替える時間を多めに見積もったスケジュールになっているらしい。
「吉野さんも交代でいいよー」
「うん、ありがとう」
クラスメイトの女の子にそう言われ、私は持っていた玩具の拳銃を彼女に預けた。
私たちのクラスは警察がコンセプトのカフェを開いていて、私も一応、警察官のコスプレをしている。
文化祭は全校生徒がお祭り気分で行っているので、この格好で校内を歩き回っても恥ずかしさはあまりなかった。