泡沫夢幻
「着いたぞ!」
駐車場に車を停め鍵を開けると
「わーい!!」
「駿っ!先行かないの!」
「俺行ってくるよ」
車を降り走り出す駿に、
笑いながらも呆れた声で呼び止める母さんに
そして駿のことを追いかける弟想いな奏。
「水族館なんて久しぶりね」
「そうだな」
学生時代に妻と出会って付き合い始めてすぐに来たっけ、と2人で思い出に浸りながら入り口を目指す。
奏は入り口付近で駿を捕まえたらしく、
今にも暴れ出しそうな駿の手を掴んでいた。