泡沫夢幻
「お願い、どうか助けて」
両眼に涙をため、おおよそ14年前の転校初日にもしたように腰を90度に曲げて頭を下げた。
皆で顔を見合わせてうなずきあった。
「もちろん」
彩音が神崎さんの肩をポンと叩いてもう1度うなずく。
「先代…」
そう言って私たちの会話に入ってきたのは15代目の総長だった。
「その、トオルは私たちになにかうらみがあるのですか?」
遠慮がちに聞くが、その眼はまっすぐで、私たちが現役だったころを思い出させる。
「最近そこそこに鍛えている我々が不自然にやられるんです」
そう言って手に持っていた地図を見せた。
そこに記されていたのは飛龍のメンバーが何者かに襲われたとされる場所。
そしてその場所は私の扱う事件と一致するものがいくつもあった。