泡沫夢幻


「もうすぐ夏休みだぜ?!どっか行かね?!」
無事に今日の授業を全て終え、放課後になった。

朝から騒がしい颯太はテストが終わった開放感と今朝の国語の宿題を無事に終わらせることができた達成感とでさらに騒がしい。

俺も無事に宿題を終え、水瀬にしっかり謝ると

「珍しいからびっくりしちゃった」
そう笑って許してくれた。


今は『いつメン』とも呼べる水瀬、陽菜、佐野さん、野崎さん、颯太、そして俺の6人で話をしている。

というか主に颯太と陽菜と野崎さんが話して
水瀬がにこにこ笑ってて、佐野さんが冷ややかな目で見て、俺がその様子を微笑ましく見てるというなんともまあ我が子を見守る親の気分を味わっている。


「夏といえば海じゃない?」
「海かぁ…日焼けしそう…」
陽菜と野崎さんは2人でひとつの携帯を覗き込んでいる。

「ほらひよりも来なよ!」
水瀬がその様子を外から眺めていると陽菜が手招きする。
いつも明るい陽菜だが実は人一倍周りが見えて話に入れない子に話しかけることができる子なのだ。


そんな3人の様子を(涙ながらに)見ていると
「ねえ、それ。」
と佐野さんに声をかけられた。

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