泡沫夢幻
花火大会からひよりを送り届けて家に帰ってきた。気がつけば夏休みが終わるまであと1週間になってしまい、ひよりは別れ際「残りの課題を終わらせて休み明けのテスト勉強がしたいからしばらく会えそうにない」なんてことを話していた気がする。
俺はそれに対してどんな返事をしたっけ…
もやもやした何かが俺を取り巻く全てを支配して、久々に兄貴の部屋に足を踏み入れてみた。ここに答えがあるとは到底思えないけれど。
数か月前に拾った大切なものだというあの鍵は、いつも身につけている。
なんとなく、兄貴の机の引き出しを開けてみると2冊のノートが入っていた。この引き出しを開けるのは初めてではないのに、初めて見た気がする。そして、何故かわからないけれど、それらは今読むべきものだとも思った。
それらを手にとって大きく息を吸ってから、
適当に床に座って拍子をめくった。