泡沫夢幻


さっきまで、賑やかであたたかい空間に居たからか、いつも通りの自宅なはずなのに、なんだか少し寂しく思えた。

お風呂を済ませ、テスト勉強しようと課題を開いてみたけれどやる気が起きずに、茜先生と兄貴の交換日記を手にベッドに寝転んだ。


『明日も会えるの楽しみだなぁ…(茜)』
交換日記は茜先生の言葉で締め括られていて、数ページほどまだ新しい何も書かれていない紙が続いて

『そばにいても隣にいても傷つけてしまうなら俺は守るためにみんなから離れる』
最後のページに力強く書かれたその文字は兄貴の決意の深さを表しているようで、思わずそっとその文字を撫でた。


- じゃあ、行ってくるから。ごめんな、1人にして -
家を出る直前、兄貴は珍しく俺の頭を撫でてそう話した。

おそらく茜先生や仲間達には何も言わずに出ていった、いや、何も言えなかったのだろう。

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