泡沫夢幻
「なぁ、ひより…
別れて欲しいんだ」
「…だろうと思ってた。
最近の駿くん楽しくなさそうだったもの。
いいよ、別れよう?」
あっさりとそう返された。
だって何を言っても心は決まってるんでしょ?と付け足して。
守りたいから、離れるしかない。
今なら父さんや兄貴が俺から遠ざかった理由がわかる。
………だけどこうも淡々と言われるとモヤモヤとしたものが残る。
悩んでいても時は過ぎていく。
全て終われば今度こそそばに居られる。
___いや、そばに居られなくてもひよりが笑っていてくれるならなんだっていい。
そう思っていたのに。
別れ話を告げたあの日の夢をよく見るようになって、うまく寝付けなくなっていた。