泡沫夢幻
「父さん、話があるんだ」
鍵を握り締めて、
誰もいないリビングで
うつむきながら呟く。
「俺、全部終わらせるよ。
この鍵をアイツらに渡せばいいんだろ?
俺、この鍵のせいで大事な奴傷つけてんだ…」
この部屋に盗聴器が新しくつけられたのは
なんとなく知っていた。
「俺にはもう、こうするしかない。
俺、やっと決心できたんだ」
少しずつ声を張って胸を張って。
「だから、待っててね父さん」
俺が終わらせる。