泡沫夢幻
6月20日。
「駿くん!今日の帰りご飯食べに行かない?」
そうひよりが誘ってくれた。
「うん、行こうか」
今日でお別れか…。
想いが通じ合ってから、
別れて、
それから半分以上はひよりが眠っていて、
すごく短い期間だった。
「…ねえ駿くん、楽しい?」
首を傾げて上目遣いで聞いてくる。
俺はすぐそばにいられなくても、
ひよりが笑ってくれるならそれでいいんだ。
今日だけは、今だけは
そんな顔させてはいけないんだ。
「楽しいよ。あ、写真撮ろうか」
「うん!撮ろ!」
目を覚ましてからひよりは常日頃から俺を被写体にしたがる。自分が撮られるのは苦手だけど駿くんと一緒ならいくらでも撮るよ!!と言うのだ。
「はい、チーズ」
カシャッ
ひよりにもらった写真を見て
ちゃんと笑えてることに安心する。
「最後に、いい写真が撮れた」
そう呟いた俺の声は
ひさびさに駿くんと写真撮れた〜!とはしゃぐひよりには届かなかった。