泡沫夢幻


「ねえ悠里ちゃん、聞いて!
駿くんがね変なこと言い出したの」
そう言って持っていた手提げバッグから真っ赤なほおずきを差し出す。

「私全部知ってるんだからね」
そう言って俺をまっすぐ見る。

「何これ?」と頭にはてなを浮かべた野崎の隣には、いつの間にかあの真っ黒に覆われた黒ずくめの男が立っていた。


黒ずくめの男は俺の方へ刃物を向けながら走り出した。
そして___
「危ないっ!」
ひよりは俺の方を向いて

サ ヨ ナ ラ

と笑った。


「よくも悠里様に向かって…!!」
黒ずくめの男は刃物を振りかざす。
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