泡沫夢幻



「なぁ、ひより」
眠そうなキミの肩を抱いて問うと
「ん?」
キミは目を擦りながらそう答える。

彼女の胸元では雪の結晶のネックレスが揺れて輝いた。

「愛してるよ」

「ふふっ
私はどこにも行かないよ?
駿くん、また思い出してたんでしょ」
俺の腕をぎゅっと抱きしめながら幸せそうに笑うキミ。




8年前、高校生1年生だった俺たちは
4年制大学を卒業して同棲を始めた。

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